「フェラーリ」は高い走行性能と魅力の溢れるスマートなデザインを両立した自動車メーカーです。日産やトヨタ、三菱など優れた国産の自動車メーカーが多く存在する日本の自動車業界において、一線を画すメーカーとしてのブランド能力を持ち、存在感を放ち続けています。一台でも所有しておくと、間違いなく日々の移動を快適かつ楽しいものにしてくれるでしょう。
この記事では「フェラーリ」の歴史や特徴、おすすめポイントについて解説し、フェラーリ唯一のSUVモデルについて紹介します。
フェラーリとは
フェラーリは現在、世界屈指の大手自動車メーカーという地位を築いています。元々は小規模なレーシングチームから始まりましたが、高い技術力と積極的なプロモーションから生まれる優れたブランドイメージによって成長を遂げました。
イタリア発の自動車メーカー。元々はレーシングチームから誕生
フェラーリは1947年にイタリアのモデナでエンツォ・フェラーリによって設立されました。レーシングチームの文脈の中で誕生したメーカーなので、レーシングカーとスポーツカーの製造をメインとし、跳ね馬のエンブレムで知られています。
レースで勝利するための高性能な車体とそれを製造する高い技術力に周囲の目を引くスタイリッシュなデザインを備えており、誰もが一度は乗ってみたいと思うような車両が多く販売されています。またF1世界選手権には開催当初から参戦し続け、ル・マン24時間レースやミッレミリア、タルガ・フローリオでも結果を残すなど、レーシングチームとしても高い評価を受けています。
創業者エンツォ・フェラーリの功績
フェラーリを創業したのはイタリアのモデナを故郷に持つ実業家兼レーシングドライバー、エンツォ・フェラーリです。9歳の時に地元で行われたレースを見たことでモータースポーツに引き込まれた後、第一次世界大戦で死の縁に立たされたことをきっかけに、モータースポーツ界で働くことを決意します。
戦争終結後にレーシングドライバーとしてのキャリアをスタートし、トリノの名門自動車メーカー、フィアットに応募するも落選。最終的にミラノの自動車メーカー、コストルツイォ―二・メカニケ・ナツィオーリに入社し、タルガ・フローリオで9位に入賞するなど早々と頭角を現します。その活躍が認められると、1920年にはモータースポーツ界の強豪メーカーであるアルファロメオのドライバーとなり、いくつかのレースで結果を残しました。
1929年には複数のレーシングドライバーとの共同出資の形でソシエタ・アノニマ・スクーデリア・フェラーリというセミワークスチームを結成します。しかし世界トップクラスのドライバーに実力が及ばなかったことや、度重なる体調不良もあり、1931年にレーシングドライバーを引退。その後はアルファロメオのレーシングチームのマネージャーや、販売代理店の経営などに回り、実業家としての手腕を発揮するようになりました。
アルファロメオを退社後、1947年に自身の名前を冠した自動車メーカー、フェラーリを設立。以降責任者として経営に携わりつつ、モータースポーツ部門もマネージャーとしてチームを指揮し、世界屈指の名門自動車メーカーへと成長させました。
フェラーリの歴史を振り返る
創業からすぐさま世界屈指の自動車メーカーに
1947年にイタリアのモデナでフェラーリの歴史がスタートします。当初はレーシングカーの販売を専門としていたため、創業と同時に販売されたモデルである「125S」の生産台数は僅か2台でした。「125S」はすぐさまローマグランプリを始めとした各地のレースで優勝し、フェラーリの名前を世界中に轟かせます。1948年には「166MM」というモデルを発売。「166MM」はF1世界選手権をはじめとする世界中の著名なレースで大活躍しました。また「166MM」の販売をきっかけに少数ではありますが、グランツーリスモ車の販売を開始します。これがイタリアの貴族達に好評だったため、フェラーリは高級車を扱うブランドとしての地盤を固めました。
また1950年代に入ると「250」モデルの販売を開始します。この「250」モデルはフェラーリで初めてレーシングカーを基盤としておらず、一般向けに発売されています。当初は専門外の部分も多く、評判も高くありませんでしたが、改良を重ね、最終的に発売された「250GTE」モデルは走行性能と快適さの両方で高評価を受けました。その後もモータースポーツ部門で結果を出し続け、市販車部門では12気筒エンジンを売りとした車両販売と販路の拡大による海外進出も果たすなど、現在も続くブランドイメージを完全に確立します。特に自社の広告を打たないという唯一無二の方針と、それでいて各国のセレブに愛され、自然と新聞やテレビに露出するといった姿は特徴的です。
経営危機と社内の混乱
ここまで順調な道のりを歩んできたフェラーリでしたが、一転して1950年代後半からは冬の時代を過ごすことになります。企業として成長していく一方で、エンツォによる個人的な人事で起こる問題や、モータースポーツ部門への過剰投資から来る財政圧迫、製造コストの高さなどが浮き彫りに。加えてエンツォの後継者とされていた長男の死やレース中の観客死亡事故の裁判(最終的には無罪に)、社員のストライキも起こります。こうした問題を解決するため、安価な小型スポーツカーの販売という策を講じますが、不発に終わります。
1960年代に入るとますます状態は悪化します。1961年にはフェラーリの成長を支えた8人の部署長級の社員がエンツォに反発し、最終的に解雇される事件が勃発。1963年ごろにはアメリカの大手自動車メーカーであるフォードによる買収の噂が立つも、条件面で折り合わずに決裂します。こうした混乱はモータースポーツ部門にも波及し、1960年代は数多くのレースで敗北。中には完走すらできないものもありました。
フィアットによる買収とエンツォ・フェラーリの死
中小企業の域を超えたフェラーリの経営にエンツォも限界を感じていたのか、1968年にフェラーリのフィアット・グループによる買収を受け入れました。多くの社員をフィアットから受け入れたフェラーリは経営危機を脱するため、市販車部門の成長を目指します。1973年には時速300kmを超える「365GT4BB」モデルが大ヒットとなり、1975年にはV型8気筒エンジンが搭載された「208/308」を発売。このV型8気筒エンジンを装備したモデルはその後も大ヒットを重ね、フェラーリの売り上げに大きく貢献しました。
フェラーリの改革と再建の裏で、エンツォは経営から手を引き、モータースポーツ部門のマネージャー業に注力します。1977年に会長職を辞した後も、モータースポーツ界では高い影響力を持ち続け、さまざまな表彰を受賞。最終的に1988年、腎不全によって死去しました。
顧客の拡大と近年の動向
エンツォの死去後、イタリアの実業家、ルカ・ディ・モンテゼーモロがトップに就任します。モンテゼーモロはすぐさま市販車部門の生産効率や品質の改善に着手し、エンツォ時代からの問題を解決。さらにセミATやパワーステアリング、広い手荷物スペースといったより一般向けの設備を車両に導入し、従来の顧客とは違う層の獲得にも成功しました。また市販車部門の改善に伴ってモータースポーツ部門の成績も向上し、1990年代中盤からは再びコンスタントに表彰台に乗るようになります。
その後もフェラーリは安定した売り上げとレースの成績を維持し、高級車メーカーとしてのブランドを確立し、2015年にはニューヨーク証券取引所への上場を果たしました。他にも2000年代以降は環境面にも配慮した低燃費車やハイブリッドカーの販売も行っており、現在も世界の自動車業界の最前線を走っています。
フェラーリの魅力とは
フェラーリにはさまざまな魅力がありますが、ここでは3つに絞って解説します。
優れたブランドイメージ
フェラーリの魅力として真っ先に思い浮かぶのが、優れたブランドイメージです。「自社広告を打たないが、多くのセレブや有名人に愛されて結果的に宣伝される」「車両の販売台数が少なくかつ高価であるため簡単に手に入れられない」こうした部分からフェラーリの優れたブランドイメージが醸成され、フェラーリの車両を持つことそのものが一つのステータスとなります。創業者エンツォ・フェラーリによって打ち出された、顧客の飢餓感を煽るビジネスモデルの賜物と言えるでしょう。
高い車両性能
高い車両性能もフェラーリを語る上で欠かせない要素です。元々レーシングカーの製造を行っていたため、フェラーリの車両はどれも圧倒的なスピードと、それを制御する車両設備が備わっています。フェラーリの代名詞でもあるV型12気筒エンジンは代表格で、他にもV型6気筒ターボエンジンやV型8気筒エンジンなどが使われています。また市販車部門の成長に伴い、一般向けの安全、快適さを担保する設備も改良され、現在ではアンチロック・ブレーキシステムなど最新技術が導入されています。
思わず目を引く車両デザイン
思わず目を引くスマートな車両デザインも、フェラーリの魅力です。美しい流線形の車体と、滑らかな印象を与えるフロントデザインを特徴としており、一目見ただけでフェラーリだと分かるデザインの統一感を備えています。それを前提に、各モデル毎に違った世界観を持ったデザインがなされています。実際に業界での評価も高く、世界中の工業製品について革新性、フォルムと機能、エルゴノミクス、耐久性の観点から専門のデザイナーが審査する「レッド・ドット・デザイン賞」を受賞し続けています。
フェラーリ唯一のSUVモデル「Ferrari Purosangue」について解説
前述したようにフェラーリはレーシングカーやスポーツカーを専門に取り扱っている自動車メーカーです。そのため、4ドアカーやSUVは販売していませんでした。しかし2022年9月13日、遂にフェラーリからSUV型、4ドア4シーターのモデルが発表されました。それが「Ferrari Purosangue」です。Purosangueはイタリア語でサラブレッドを意味しており、実際にそれを彷彿させるような優れた走行性能を備えています。なおフェラーリは過去にSUVを作らない方針を示していたため、「Ferrari Purosangue」は正確にはSUVではなく4ドアスポーツカーというカテゴリとされています。
SUVとは
そもそもSUVとは一体何なのかについて解説します。SUVとは、スポーツ・ユーティリティー・ビークルの略称です。はっきりとした定義はありませんが、一般車よりボディが大きく、オフロードでの高い走行性能、たくさんの荷物を乗せられる大きさの荷台を備え、さまざまなスポーツやレジャーの場面で活躍できる車両となっています。種類も細かく分けられており、近年は街乗りを想定して作られたクロスオーバーSUVが注目を集めており、ワゴンやセダンに取って代わる勢いです。
「Ferrari Purosangue」のスペック
(出典:https://www.ferrari.com/ja-JP/auto/ferrari-purosangue)
メーカー希望小売価格 | 定価 39万ユーロ(税込) 日本国内価格 47,600,000円から(税込) |
車体サイズ | 全長4,973mm×全幅2,028mm×全高1,589mm |
ホイールベース | 3,018mm |
総排気量 | 1,199cc |
重量 | 2,033kg |
エンジンの種類 | 6.5リッター V型12気筒エンジン DOHC 48バルブ |
エンジン最高出力 | 535kW(725PS)/7,750rpm |
エンジン最大トルク | 716N・m/7,000rpm |
駆動方式 | 4WD |
トランスミッション | 8段AT(DCT) |
タイヤサイズ | (前輪)255/35R22/(後輪)315/30R23 |
ブレーキサイズ | (前輪)398×38mm/(後輪)380×34mm |
燃料タンク容量 | 100ℓ |
「Ferrari Purosangue」のおすすめポイント
「Ferrari Purosangue」にはいくつかのおすすめポイントが存在します。
まず「Ferrari Purosangue」はフェラーリの歴史上初となる4ドア4シーターのモデルです。4つドアが装備されていることで、子供連れの家族でも問題なく乗れます。これまでフェラーリの車両の購入を検討したものの、2ドアしかないのがネックとなって購入しなかったという人にとって、この「Ferrari Purosangue」は救世主とも言える存在です。
次に高い走行性能があげられます。フェラーリの伝統とも言えるV型12気筒エンジンの搭載により、わずか3.3秒で時速100kmに到達でき、最高時速300km以上を出せるようになっています。またエンジンの配置やトランスミッションの整備により、車体の前後の重量配分を49:51とほぼ均等に。さらに高い防音性能と軽さを兼ね備えたカーボン製の素材がシャシーやルーフに用いられています。車体下部にはアクティブ・サスペンション・システムが搭載され、衝撃を吸収することで、安定した走行性能を獲得しています。
加えて内装も非常に優れています。助手席側には10.2インチのインフォテインメント用ディスプレイが備え付けられており、これを用いるとほぼ全ての機能が操作できる簡単設計に。シートは自由にリクライニングできる他、倒すことで荷物の収納スペースも確保できます。極めつけはブルメスターの3Dハイエンド・サラウンド・サウンドシステム。この高性能オーディオシステムによって、走行中に音楽を快適に聞けるのも魅力的です。
「Ferrari Purosangue」の購入方法
2022年9月13日に発表されると、すぐさま予約が殺到したため、2022年11月ごろに受注が一時停止されている状況です。「Ferrari Purosangue」はフェラーリの全生産台数のうちの20%(約2000台)までしか製造しないと言われており、基本的に売り切れの状態が続くと予想されます。購入するためには受注再開まで気長に待つ必要があります。
まとめ
以上が「フェラーリ」の歴史や特徴、おすすめポイントについての解説、フェラーリ唯一のSUVモデルの紹介でした。
「フェラーリ」の車両を使うことで日々の移動に新たな可能性が生まれ、生活をより楽しくしてくれます。この記事ではフェラーリが販売しているSUVについて紹介しましたが、本来はスポーツカータイプの車両を主力としており、こちらもさまざまなモデルが販売されています。これを機にお好みの「フェラーリ」の車両をお探しになってみてはいかがでしょうか。