アキュラは、海外で人気のある高級車ブランドです。日本でも一部から人気があるものの、アキュラの存在はあまり知られていません。ここではアキュラがどんなブランドなのか、またアキュラの車の購入方法や、どんな車種があるのかについてご紹介していきます。
アキュラとは
1986年に北米市場からスタートしたホンダの海外専売ブランド
アキュラ(ACURA)はホンダ(本田技研工業株式会社)が1986年からアメリカやカナダなど主に北米で展開する高級自動車ブランドです。スポーツカーのインテグラとレジェンドの販売からスタートしましたが、高級セダンと高級SUVが主流となっています。
北米ではアキュラより先にホンダブランドを展開していますが、それよりも上級のブランドという位置付けで、トヨタのレクサス、日産のインフィニティのような存在です。ただし、アキュラはレクサスやインフィニティよりも先に誕生していて日本における海外市場向け高級車ブランドのパイオニアとなっています。
なぜアキュラブランドを立ち上げたのか
当時、ホンダは大衆車のシビックやアコードが大ヒットしていましたが、高級自動車ブランドがありませんでした。アキュラの立ち上げ以前から、ホンダはスーパーカブやシビックの輸出でアメリカ市場へと参入していたため、大衆車の次のステップとしてアメリカの高級車市場に進出して販路を見出したいという思惑が関係していました。
ホンダとアキュラの違い
ホンダとアキュラの最大の違いはアキュラは海外専売のブランドであり、日本での販売がないという点です。主に北米を中心に展開をしていますが、1991年に香港、2004年にメキシコ、2006年にマカオを除く中華人民共和国、2014年にロシア、2015年にはブラジルにも進出しており、トヨタのレクサスやニッサンのインフィニティよりも積極的にグローバル展開を行なっています。
またアキュラは高級車ブランドとして立ち上げられたため、ホンダのようにコンパクトカーや商用車などの生産はしておりません。あくまで高級モデルのみをラインナップしているというのがホンダとの大きな違いです。
ブランド名の由来
アキュラのエンブレムはホンダブランドとは異なる専用のエンブレムが用意されています。ホンダのHを逆さにしたようなAのデザインが特徴的で、正確さを意味する「Accuracy」がブランド名の由来です。またこのようにアルファベットの一番最初の文字であるAを頭文字にすることで、他の自動車メーカーとアルファベット順に並べたときに先頭に来るようにしたと言われています。
日本国内でのアキュラの入手方法
アキュラは日本で展開されていない
アキュラは海外専売ブランドとなっているため、日本での展開は行われていません。現在同じように海外向け高級車ブランドで日本で展開されているのはトヨタのレクサスになっています。
アキュラは2005年には2008年から日本に導入することを発表しましたが、2008年に入り日本展開を撤回することを発表しました。そのため2度目の導入発表をする可能性は限りなく低いだろうと言われています。
並行輸入を手掛けている販売業者から購入する
アキュラが国内展開されていない以上、並行輸入車を買う必要があります。現地の正規ディーラーや、販売店、個人売買などを通じて購入後、日本へ向けて輸出するのですが、個人輸入では、輸入された車を使用者の責任で日本の保安基準に適合させなくてはなりません。代表的なものでいうと日本は右側通行ですが、アメリカは左側通行となっており、ハンドルの位置も違います。そのため、ヘッドライトの配光も逆となっており、そのままでは日本の車検は通すことはできないのです。このようなことに対処しようとすると手続きは多岐に渡り、簡単ではありません。個人輸入での購入を検討している方は事前に詳細な検討をすると良いでしょう。
「個人輸入は不安だ」「調べる時間がない」という方は並行輸入車・逆輸入車を専門的に取り扱う店舗にお願いするのをおすすめします。特にホンダ並行輸入車専門店という売り込みでアキュラも取り扱っている自動車販売も国内にいくつか存在するので、そこに問い合わせてみてはいかがでしょうか。
ただし、車検を通してナンバーをつけるまでの複雑な作業を任せることになり、安心して楽できるものの、その手間隙分が販売価格に上乗せされるので現地販売価格よりも割高になってしまう可能性はあります。
国内にある中古車を購入する
中古でも構わないという方は、日本の中古車市場に登録されているアキュラブランドを買う方法があります。現在では生産が終了してしまっている車はこの方法が主な手段となります。
またこの方法だと国内に現車があれば、自分の目でみて判断することができるというメリットがあるため、探しているモデルの車があれば、選択肢の一つとして考えても良いのではないでしょうか。ただ、全体に出品されているアキュラは多くはないので気長に探すことのできる忍耐力が必要です。
アキュラを購入するための費用の内訳は?
アキュラを購入しようと思った時、一番気になるのは費用ではないでしょうか。
詳しく説明すると、車両本体の購入代、通関料金や海上保険・陸送費などの輸出輸入に関係する費用、車検・排ガス検査など各種登録・検査費用、業者に依頼した場合には部品代や整備費用に代行手数料などです。複雑で難しいものとなりますので、個人輸入する場合は慎重に時間をかけて費用を計算していくのが望ましいでしょう。
アキュラのカーラインナップ
アキュラのwebページ(https://www.acura.com/)を確認すると2023年11月現在は以下の表のようになっている
アキュラ現行モデル
車種名 | ボディタイプ | 価格 |
TLX | セダン | $40,050〜 |
RDX | SUV | $44,050〜 |
MDX | SUV | $49,850〜 |
INTEGRA | スポーツ | $31,500〜 |
※ 価格はUSドル表記です。
アキュラTLX
(出典:https://www.acura.com/cars/tlx)
アキュラTLXはブランドの主力ともいうべきプレミアムスポーティセダンです。全幅は1,854mmで、日本でもぎりぎり取り回せるサイズになっています。
Standard/Technology/A-Spec/Advanceの4つのグレードが展開されており、これらには272HPを発生する2.0L 直4 VTECターボエンジンとV6 3.0Lターボエンジンを用意され、V6エンジン搭載車(Type S)にはSH-AWD車も用意されています。ラグジュアリーとスポーツを融合したのが特徴で、安全装備・快適装備がしっかりとしていてさすが高級ブランドといったところです。
現地価格は$40,050〜となっていて、高性能グレードとして最大出力が355hpの強力なエンジンを搭載した「Type S」は$55,750〜となっています。
Type Sは強力なエンジンを搭載しているだけでなく、AWDながらトルクベクタリングでアンダーステアを効果的にキャンセルする「SH-AWD」のスポーティーなハンドリングを搭載しているため、スポーツ志向のドライバーにおすすめです。
アキュラRDX
(出典:https://www.acura.com/suvs/rdx)
アキュラRDXは全長:4.75m、全幅:1.9mというミドルサイズのSUVで、ホンダでも発売するミドルサイズSUVのCR-Vを基に開発したモデルとなっています。全長4,742mm× 幅1,899mm×高さ1,668mmと、日本では少し大きめなボディサイズですが、逆輸入・購入を希望する方が多く、アキュラのSUVの中でも一番人気と言える車種です。Standard/Technology/A-Spec/Advance/A-SpecAdvanceの5つのグレードが用意されています。
パワーユニットは全グレードで272HPを発生する2.0L 直4 VTECターボエンジンを用意し、駆動方式は標準的なFFとホンダ独自のトルクベクタリングAWD技術であるSH-AWDのどちらかを選択することができます。
比較的リーズナブルで安全装備も充実していて、コストパフォーマンスの高いところがRDXの魅力と言えます。現地価格は$44,050〜となっています。
アキュラMDX
(出典:https://www.acura.com/suvs/mdx)
アキュラMDXは3列7人乗り仕様を持つ、ファミリーカーに最適のプレミアムSUVです。初代は日本でも販売されていたオデッセイの北米仕様を基にしたSUVでしたが、2016年のフルモデルチェンジを経て、エクステリア・インテリアになりました。
そのサイズは全長4,917㎜×全幅1,961㎜×全高1,717㎜と巨大なものになっています。Standard/Technology/A-Spec/Advanceの4つのグレードがあります。パワーユニットは290HPを発生するV6自然吸気エンジンを搭載し、StandardとTechnology Packageの2グレードはFFとSH-AWDが選択可能で、A-Spec PackageとAdvance PackageはSH-AWDのみ設定されています。
パワフルな走りが魅力で、アメリカで売れているSUVランキングで、常に上位にランクインする大人気車種です。現地価格は$49,850〜となっており、355hpを発揮する3.0L V6ターボエンジンを搭載した、高性能グレードのType Sは$68,150〜となっています。
アキュラINTEGRA
(出典:https://www.acura.com/cars/integra)
アキュラインテグラはかつて日本で販売されていて2007年に販売を終了したものを2022年北米で展開するアキュラから復活させたモデルとなっています。
しかしながらその性能は全くの別物となっていて、コンパクトセダンと言いながらサイズは全長4,710㎜×全幅1,820㎜×全高1,400㎜とかなり大柄のボディとなっていて、搭載されているエンジンは最高出力200hpの1.5Lターボエンジン車となっています。他の車種と同様Standard/Technology/A-Spec/Advanceの4つのグレードが存在しますが、エンジンはこれのみです。
現地価格は$30,800〜となり、ハイグレードのType Sは$50,800〜となっています。スポーツモデルの中では比較的購入しやすい金額なのも魅力の一つです。
アキュラのスポーツモデルは2022までNSXがありましたが、生産終了してしまいスポーツモデルが不在となっていましたが、インテグラの復活によりアキュラのスポーツモデルが息を吹き返しました。日本でもインテグラの復活を望む声が多く上がっていましたが、2023年現在ではそのような発表はされていません。
販売終了した人気モデル
ここからは残念ながら販売終了してしまった人気モデルをご紹介していきます。新車を買うことはなかなか叶いませんが、運が良ければ中古で売られている可能性もあるので、知っておいて損はないでしょう。インテグラのように今後復活する可能性も無きにしも非ずです。
アキュラILX
(出典:https://www.pinterest.jp/pin/699817229581195908/)
まずご紹介するのはアキュラのコンパクトスポーツセダンのILXです。2012年から発売され続けていた息の長いモデルとなっていましたが、2022に新型インテグラと取って代わるように、販売が終了してしまいました。
発売当初はじわじわと売れ、2014年モデルで同車のスモールアップデートを導入しました。2016年モデルでは、よりパワフルな標準エンジンを含むリフレッシュが行われ、2019年には、さらに大幅なスタイリングとテクノロジーのアップデートがなされています。エンジンは201HPを発生する2.4L自然吸気エンジンを搭載、トランスミッションは8速DCTとなっています。
販売していた頃の価格は$25,900〜とアキュラブランドの中では最安値となっていて、とても購入しやすいモデルでした。
アキュラRLX
(出典:https://www.pinterest.jp/pin/599541769125646409/)
RLXは日本で販売するレジェンドのアキュラ仕様で、アキュラ・ホンダブランドのフラッグシップモデルでした。1980年代後半から1990年代中頃までは、米国で最も売れた輸入高級セダンとして君臨していたRLXですが、2020年モデルで販売終了となってしまいました。
3つの高出力モーターとエンジンを組み合わせた3.5LスポーツハイブリッドSH-AWDを搭載していて、技術的にも最先端だったRLXの販売終了は、自動車マーケットがSUVが主流になり、セダンマーケットが縮小してしまった現実を色濃く反映していると言えるでしょう。
当時の販売価格はスポーツタイプを除くと最高額の$54,900〜と、高めに設定されていました。
アキュラNSX
(出典:https://www.pinterest.jp/pin/684265737142172571/)
アキュラNSXは日本でも販売するホンダNSXのアキュラ仕様です。エクステリア・インテリア・仕様など全て同じため日本でも手に入れやすいモデルでした。しかし、2022年12月でNSXの生産を終了することとなってしまいました。
NSXの初代モデルのグローバルでの累計販売台数は約1万8千台でしたが、2代目は2558台にとどまっており、販売が低迷していたことが生産終了を決めた理由でした。主に北米での高性能なスポーツカーとしての認知度やブランド力がフェラーリやランボルギーニなどの海外の競合車種にに及ばなかったのが原因ではないかと言われています。
それでも、パワーユニットは3.5L V6ツインターボエンジンに、3基のモーターを組み合わせたものを搭載しており、システム最高出力は620hpを発揮します。駆動システムはSPORT HYBRID SH-AWDで、ハイパワースポーツカーながらまるでレール上を走行しているかのような感覚のコーナリングが味わえます。日本が誇るこのスポーツカーはフェラーリやランボルギーニなどの競合車種にもに対抗できる本格スポーツカーといっても過言ではないでしょう。当時の販売価格も$169,500〜となっており、スペックも金額もまさに桁違いです。
まとめ
ここまでホンダが海外専売ブランドとして展開するアキュラについての基本情報と購入方法、カーラインナップについて紹介してしました。アキュラはいまだ日本国内ではあまり知られていない、マニアックなブランドといって良いでしょう。ですが、ホンダの技術力をベースに作られているアキュラは高い性能を誇りながらも、北米仕様にブランディングされた独特な魅力を併せ持っています。
日本での販売がされておらず、今後日本に導入される可能性も低いため、入手するのが困難となりますが、「アキュラの車が欲しい!」と思った方は中古車を探すか、並行輸入の得意な自動車販売店を探して問い合わせてみてください。全体の出品数が少ないため難しいとは思いますが、焦らず、慎重に、気長に探すのがポイントです。ぜひ機会があれば、ホンダでは味わえないアキュラの魅力を味わってみてください。